なぜ予防がスタンダードになりにくいか

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5月号の文芸春秋に「患者が知らない医療の真実」という特集が組まれています。そこに「医学部エリートが病気を作っている」と題して次のような記事が出ていました。

この記事の趣旨は、

■健康診断は無意味、一切受ける必要はない、むしろ有害になるケースがある。
■基準値を辛くするか甘くするか、そのさじ加減で患者数が大幅に増減する。
■その検査結果の基準値の決定には科学的見地に基づいたものではなく、国の予算や製薬会社のビジネスなどが背景にあり、経済的な理由で病気を作っている。
■血圧やコレステロール値、血糖値など基準値より高いという理由で、安易に薬を使うことは危険。それらの薬は、“病気を改善する薬”ではなく、“値を下げる薬”にすぎない。
■病気を治すには、また健康を維持するには、薬ではなく、食生活や生活習慣の改善こそ本流になるべき。
予防医学と栄養学の知見を全面的に取り入れて、患者本位の医療を実現するため、根本の部分から医療界を変えていく活動を続けている。と締めくくっています。

「患者本位の医療を実現するため」と書かれていますが、現行の医療は患者本位ではないのでしょうか?ここに経済や制度優先の部分があるようです。

できるならば薬を使わず、生活習慣や食生活の改善で健康を取り戻し、維持できれば、その方がいいと思われるでしょう。ではなぜそうならないのでしょうか?

医療機関側も薬局も薬を処方することで報酬を得られます。時間もかからず、薬を飲めば数値はほぼ確実に下がるのです。生活習慣や食生活を改善させるには、指導教育する時間と人件費、そして不確実さが増します。健康保険制度は基本的に出来高払いといって、行った処置や薬に対して点数がつけられています。指導については(特に予防指導については)点数の割り当てがほとんどないと思われます。医療機関側は、地道に教育指導するよりも薬を処方する方に傾くのです。

歯科医療も同じです。予防指導を徹底させるよりも、すぐに削って詰めた方が経済効率がよい(予防の効率は悪い)のです。予防の大切さを時間をかけて理解してもらうよりも、インプラントやセラミックの白い歯の方が売りやすいのです。

むし歯や歯周病は典型的な生活習慣病であるにも関わらず、徹底した予防指導が行われず、今でも成人の80%は歯周病に罹ってると言われています。生活習慣や食生活の改善なくしてむし歯や歯周病は治りません。徹底した予防指導、教育をするには、少なくとも数時間の時間が必要でしょう。“徹底した”という部分が大切です。そのノウハウと時間に価値を認められれば、むし歯や歯周病は激減するはずです。

しかし現在でも50歳を過ぎると多くの人は歯を失い始めます。そして失ったところへインプラントや義歯、ブリッジなどを入れていきます。それもほとんどの場合、徹底した予防計画なしに行われるため、その後も歯が失われることは止まりません。

そのようなことは、本当は誰も望んでいないと思います。歯が失われず、生涯自分の歯が健康に残せることを望んでおられるはずです。

日本で予防が本当の意味でスタンダードになるように、これからも予防の大切さを伝えていきたいと思います。

 

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