11月休診のお知らせ

11月21日(土)28日(土)休診になります。

Blue Print(設計図)

歯の治療では、歯科医は歯を削る場合があります。

歯を削るともう元には戻りません。治療とはいえ患者さんの体の一部を傷つけることになります。他人の身体を傷つけて許されるのは、歯科医師か医師だけです。(プロレスやボクシングなどは例外はありますが…)

傷つけた以上、それを上回る結果を保証しなければなりません。

そこで、治療したらどうなるのか?をシミュレーションすることがあります。

治療後の結果を最大にするためです。

特に咬み合わせに関係する治療の場合は必要になります。

今から私ができること、やろうとしていることはどういうことなのか?治療する上で、どこがポイント(重要)なのか?患者さんの歯を削る前にまずその患者さんの模型を治療して設計図を作るのです。

  • 顎を動かす筋肉に過剰な負担を強いらなくてもすむように、歯を壊すような余分な力のストレスをなくすために、顎と歯のバランスのとれた咬み合わせを作るにはどうしたらいいか?
  • 上下の歯を咬み合わせた状態で顎が前後左右に動くとき、スムーズに動くには前歯の角度をどのようにすればよいか?スムーズな動きを邪魔するものはないか?
  • 奥歯の山と谷の位置をどこに設定すればうまく噛めるか?
  • 崩れた前歯を修復する場合、どのように前歯を設計すれば美しく見えるか?

などをこの作業中にしっかり検討します。

Blue Printを作ることで、治療後の状態をより正確にイメージすることができますし、行き当たりばったりの治療にならず計画的に治療を進めることができます。

何より、治療後の経過(予後)が安定します。

診療後に夜な夜なこのBlue Printを作ることがよくあるのですが、患者さんの顔を思い浮かべながらのこの作業は楽しいものです。

 

10月休診のお知らせ

今日から10月です。今年もあと3か月になってしまいました。

10月3日(土)13日(火)14日(水)休診いたします。

今日のクローズアップ現代は生体肝移植でした。

今晩のクローズアップ現代は、生体肝移植がテーマでした。

神戸のポートアイランドに去年11月に開設された「神戸国際フロンティアメディカルセンター」 この病院で生体肝移植の手術を受けた9人のうち5人が死亡するという事例を検証しながら生体肝移植について考えるというものでした。

「神戸国際フロンティアメディカルセンター:通称KIFMEC(キフメック)」ができていきなりの出来事。劇場であれば杮(こけら)落とし的な場面。絶対ミスは許されず、細心の注意が払われての準備から執刀、看護だったはずと思われます。それなのになんで?という疑問がありました。

今晩のクローズアップ現代では、その一端が紹介されていました。TVですので、事実はもっと深く一般人には分からないことが多いのだと思いますが、生体肝移植と脳死移植、国によっての違いなど勉強になりました。

解説としてゲスト出演されていた生命倫理が専門の橳島次郎氏によると、そもそも生体肝移植とは、ドナーとなる健康な人を傷つけて行う医療なので、倫理的には本来は「やってはいけないこと」というのが原則であるとのことでした。もっともなことです。

アメリカとフランスを例に出していました。どちらも肝移植手術は生体肝移植に比べて圧倒的に脳死移植が多いのですが、日本は逆に生体肝移植が全肝移植の約9割を占めるほど生体肝移植が盛んにおこなわれているようです。

その理由には、アメリカやヨーロッパでは生体肝移植にはさまざまな規制があって簡単に行えないが、日本には規制する法律がない。そのことで生体肝移植がある意味野放しになっているというのです。

日本は国の成長戦略の一環として医療産業を挙げています。KIFMECも海外からの患者を呼び込もうというのが狙いで、国も神戸市も生体肝移植を積極的に進めようとしているようです。しかし神戸市や兵庫県の医師会からは、そもそも原則としてはやってはいけない生体肝移植を積極的に進めるべきではなく、ましてや産業として利益追求をするべきではないという立場で抗議していました。

しかし一方、肝移植など命に直接かかわる場合、患者側からすれば生体肝移植であっても脳死移植であっても、その方法しかなければその方法にすがるはずです。日本のように脳死での臓器提供が少なく待機している患者が多い場合、生体肝移植に頼ることもよく理解できます。そのような強いニーズ(要望)があれば基準にとらわれずに移植に踏み切ることも理解できます。

橳島次郎氏は番組の最後にこう述べています。

はっきりしているのは、他の人から貰うということに頼っていたら生体移植にしても脳死移植にしても非常に限りがあって難しいので、他の人から貰わないで、臓器をとっかえなくても、その前に臓器の病気を治せるようにできる、それが本当の高度医療だと思うんですね。その高度医療を伸ばしてそれを医療産業として育成するんだという姿勢が日本では大事なのではないか。だから臓器移植の件数を増やすことを目標にしてはいけないし、それを医療産業の目玉にしてはいけないと私は思います。

最後のこの意見には、強く賛成します。結局求めるべきは予防なのです。

 

東京で歯医者さん向けの講演会

なんだか急に朝晩涼しくなってまいりましたが、体調崩されてませんでしょうか?

私は、先日13日の日曜日に東京で歯医者さん向けに講演をしてきました。

私たちのグループ(Good Smile Network)では、予防中心、患者中心、健康中心の質の高い歯科医療を広めるように活動してます。

私は、「顎関節から始まる Pankey/Dawson包括歯科医療とは?」というタイトルで咬み合わせの大切さ、そして歯だけを診るのではなくてその歯をもった人にかかわることの大切さをお話しさせてもらいました。

歯の咬み合わせは、顎の関節や顎を動かす筋肉、歯、歯を支えている顎の骨などに非常に大きな影響を与えます。

歯が揺さぶられて、グラグラと動いてくる場合もあります。口が開けにくい、顎が痛いなどのいわゆる顎関節症が起こることもあります。

咬み合わせの力が集中した歯がすり減ったり、壊れることもあります。

咬み合わせの力が原因で失われる歯も非常に多いのです。

虫歯や歯周病をフロスを使った正しいプラークコントロールで予防するのと同じように、咬み合わせのとても強力な力(奥歯では100kgになることも)で歯が壊されないようにバランスよく整えておくこともとても大事です。

何より、顎を含めて顎口腔系全体的に咬み合わせのバランスを整えることができれば、快適であるだけでなく、将来歯が残せる可能性が飛躍的に高くなります。

歯医者へ行くのは痛いとき!というのは、実にもったいないし、時代遅れです。

歯医者へ行くのは、自分の歯を守るため、信頼できる専門家(歯科医や歯科衛生士)に問題なし!と言わせるために行ってください。

80歳になって、全部自分の歯で、なんでもバリバリ食べられることがどれだけ価値あるものか?「先生、楽しみは食べることだけやわ」という言葉を耳にするたび、どうやら歯の口の健康は人間らしい生活を維持するのに必要なようです。

左の写真は、私のお師匠さんのお師匠さんのPankey先生です。

Pankey先生はこう言っています。

“I never saw a tooth walk into my office„

歯科医院へ歯が一人で歩いてくるのではありません。その歯を持った人がやってくるのです。よくよくその方のお話しを聞きましょう。必ずドラマがあるはずです。と教えてくれています。

 

9月休診のお知らせ

9月12日(土)臨時休診いたします。

歯が割れる!?

噛むと上の奥歯が痛い」ということで来られました。

よく診ると歯が割れていました。歯牙破折というものです。左の写真の赤〇の部分、歯が割れているのがわかりますでしょうか?

どうやら歯ぐきの中深いところまで割れているようです。噛んで痛いという症状からすると破折は歯の中央にある歯髄(神経)まで到達しているようです。噛むたびに割れた部分が広がって、直接歯髄を刺激するのでかなり痛いです。破折した隙間に沿って口の中の細菌がすぐに侵入します。そうして歯髄が感染して歯髄炎になると、噛まなくても常に痛むようになります。

残念ながらこうなると抜歯しなければなりません。歯を失うことになります。歯ぐきの中深くまで割れてしまっている歯を引っ付けることができないからです。

「歯が割れる」ということは、珍しいことではないのです。重度の虫歯や歯周病と同じように、歯を失う原因の一つにあげられます。

奥歯には通常自分の体重ほどの力がかかります。強く咬む習慣のある人では、100㎏を超えるような力がかかる場合もあります。そしてその力が何年、あるいは何十年とかかりつづけることが考えられます。

そのような強靭な力でも、左の図のように歯に対してまっすぐな方向にかかっていればまだ安心なのですが、下の図のように歯に対して斜めに力がかかると危険です。その力でギリギリ歯ぎしりしたり、その歯に大きな詰め物があったり、歯髄(神経)がすでに失われているとさらにその危険度は増します。割れて失われる可能性が高くなるということです。

しかし歯が割れる場合は、ゆっくり割れることはなく、通常一瞬でわれます。ですので、歯牙破折を未然に防ぐには、割れそうな兆候がないかどうかを細かく診査する必要があります。

・多くの場合、割れてしまう前に亀裂が見つかることが多いので亀裂がないかチェックします。

・大きな詰め物がないか?残っている歯が薄くなっていないか?をチェックします。

・特に奥歯ですが、強い力で揺さぶられていないか?大きなすり減りはないか?をチェックします。

それらをチェックするために直接口の中を診察するだけでなく、写真や顎の動きが正確に再現できる石膏模型、レントゲン写真、また歯だけではなく、顎や顎を動かす筋肉の状態も診査します。

このような資料を丁寧に分析することで、将来の歯牙破折の危険性を診断して、歯牙破折を予防する手立てを考えることができます。

歯を快適に残していくためには、このような咬み合わせの診査がとても有効です。

キーワードは、丁寧に診察すること。私たちのクリニックでは、デンタルドックやメンテナンスを通して破折の予防にも取り組んでいます。

メンテナンスチェックは、やっぱり大切 2

7年ぶりにメンテナンスに来られた患者さんのつづきです。

7年間毎日欠かさずフロスをされ、歯ぐきの状態は完璧でした。70歳を前にして歯周病は、その気配すらありませんでした。

しかし前述した通り、1か所だけ問題がみつかりました。

虫歯です。

左下の一番奥の歯の外側(写真:青〇の部分)です。20年近く前に虫歯の治療をしていた部分です。そのときにはコンポジットレジン(樹脂)で修復していました。

その部分は、歯ぐきとの境目で常に頬の粘膜が密着しています。よほど注意していないと歯ブラシを届かせるのが難しい部分です。以前の詰め物との境から詰め物の下にかけて、実はかなり大きく溶けていました。しかし、まったく痛みもなく、しみることもなく、違和感もなく、ご本人もまったく気付いておられませんでした。

担当の歯科衛生士が見つけたのですが、気を抜くと見逃してしまうようなところです。レントゲンも撮っていましたが、レントゲンでもわかりにくいところでした。

虫歯は、かなり大きく深く、もう少しで歯髄(神経)に達するほどでした。幸い歯髄には到達しておらず、歯髄を守ることができましたが、もう少し発見が遅れていれば確実に歯髄に到達してしまって、歯髄を失うところでした。

今回久しぶりにメンテナンスに来られたのには、何か虫の知らせでもあったのでしょうか?このタイミングで発見できて本当によかったです。ギリギリセーフ!

今回は、再度虫歯になりにくいように金属で修復し、難しいその部分のプラークコントロールの方法を再度マスターしてもらって終了しました。

担当の衛生士とともに、ホッと肩をなでおろしました。

そしてまたまたメンテナンスの大切さを痛感したところです。

8月休診のご案内

8月13日(木)は、休診となります。

メンテナンスチェックは、やっぱり大切 1

7年ぶりにメンテナンスに来られた60代後半の患者さん。

事情がありメンテナンスの間隔が大きく開いてしまいました。その間「痛い」「しみる」「腫れる」「はずれる」など自覚される症状はまったくなかったそうです。

7年ぶりなので、お会いするまでいろいろ心配しましたが、なんと!ピカピカの歯でした。(一か所を除いて…)歯ぐきもピカピカ!

親知らず以外の28本すべてそろっておられて、168ヶ所(6ヶ所×28本)の歯ぐきの溝の検査でもすべて正常の3mm以下。出血もほとんどなし。

メンテナンスに来られなかった7年間、毎日欠かさずフロスを通しておられたそうです。それも完璧な方法で。

20年前に初めてお会いしたときには、むし歯の治療跡や神経を失っている歯、歯ぐきの炎症、出血もありました。このままでは、一生ちょこちょこ治療を繰り返して、大切な歯が少しずつなくなっていくことが目に見えていました。

そこでいままでの“削って詰めて完成!”そしてまた“削って詰めて完成!”の悪循環を断ち切るように、まずは徹底的に検査して現状の把握から始めました。デンタルドックを受けられたのです。

患者さんといっしょにレントゲンや写真、模型を細かく確認して、顎の関節や筋肉の状態、咬み合わせ(上下の顎の位置関係や上下の歯の接触関係など)の確認、歯の周りの組織(歯ぐきや顎の骨)の検査を細かく行いました。詳しく検査することで、いままでの悪循環の原因も見つかりました。

その経験は、この患者さんにとって初めての経験でした。いままで多くの治療を繰り返しておられましたが、一度も本当のご自分の口と向かい合うことがなかったのです。本当の状態を知る機会がなかったのです。

その後、この患者さんは正しいプラークコントロールの方法を習得され、必要な治療にも積極的に取り組まれ、清潔で咬み合わせの力のバランスがとれたお口の健康を手に入れられました。治療が終わってからも定期的にメンテナンスを受けられ、その健康を長く維持されておられました。その間、新たな治療はまったく必要ありませんでした。予防することに成功されました。この患者さんの口は生まれ変わったのです。

今回、7年のブランクがありましたが、その間に退職され、お孫さんができ、と人生での大きなイベントもありました。しかし最初に覚えていただいたプラークコントロールを毎日静かに実行されていたのです。すごいことであり、主治医としてたまらなくうれしかったです。

これからは定期的にメンテナンスを復活されることでしょう。もう安心です。おそらく生涯28本の歯は健康な状態で残ることでしょう。生涯歯で悩まれることはないでしょう。

この患者さんのように、歯周病や虫歯を予防することは、正しい手順を踏んで自分の歯に向き合うことができれば誰にでもできることなのです。

実は、今回1か所だけ問題がありましたが、今回来られたことでそれも大きな問題に発展せず解決できました。その問題にはご本人はまったく気付かれていませんでしたので、今回来られていなければあと少しで大きな問題に発展していたと思われます。長いブランクがありましたが、本当によく来られました。

今回発見されたその問題については、次回紹介いたします。