3月休診のお知らせ

3月12日(土)は臨時休診となります。

三宮 神戸花時計・神戸市役所東向かい  船曳歯科クリニック

周術期の口腔ケア

左の写真はかなり進んだ歯周病の状態です。歯ぐきが腫れて出血しています。この方のお口の中にはすさまじい数の細菌が住み着いています。その数は健康な口とは比べ物になりません。しかしこれだけの歯周病があってもほとんど「痛み」を感じられることはありません。

最近「周術期の口腔ケア」が医科・歯科の間でトピックになっています。

周術期とは手術の周り(前後)という意味で、特に免疫機能(細菌などの異物を排除しようとする働き)が低下する病気や治療の際に口の中の細菌が命にかかわる問題になる場合があります。具体的には、悪性腫瘍(がん)の放射線治療や抗がん剤治療、骨髄移植などが代表的なものです。

写真のような場合、歯ブラシで歯を磨くと歯ぐきから出血しますが、ここまで進行すると歯を磨かなくても出血しています。出血するということは微細な血管が破れているわけで、その血管の中に細菌が必ず入り込んで全身を巡ります。そのようなことが24時間365日続いていると考えられます。

前述のようにこのような方の免疫機能が低下するとどういうことがおこるでしょうか?

血流に乗って身体を巡っている細菌が身体のどこかに感染症をおこす可能性が高くなります。ただでさえ重い病気の治療なのに、そこに別の大きな問題を抱えてしまうことになります。手術は成功したのに術後に歯周病菌で命が脅かされることがあるのです。

ですので最近では、患者さんは事前に歯科の受診をもとめられるようになってきています。手術や治療の前に口の中を清潔にしておくためです。

歯科医側からの意見としては、「歯周病はそんなに短期間では治らない」ということです。手術を含め治療のスケジュールはあらかじめ決まっているので、歯科はその短い期間で口の中を清潔にすることを求められます。その期間でできる範囲で…。

この短い期間でも専門家(歯科医や歯科衛生士)といっしょに一生懸命口腔ケアを行なえばある程度細菌の数を減らすことができるので、感染症のリスクを下げることはできます。しかし十分に時間があれば、患者さんといっしょにもっともっと清潔で健康的なお口にして命にかかわる感染症のリスクを最小限にすることができるのです。

ここで大切なのは、日頃の正しい口腔ケアです。日頃からお口の中が清潔であればこのような心配はせずにすみます。正しい口腔ケアにはデンタルフロスが必ず必要です。その方法で完全にきれいにできるように虫歯を治療したり、歯との間に隙間のある修復物をピッタリ歯に合わせるようにやりかえたり、どうしても掃除の難しい歯は抜歯するという治療も必要です。

かかりつけの歯科医院でお口全体の詳しい検査を受けて今自分の口の中がどうなっているのかを正しく知りましょう。その上で正しい口腔ケアを習得され、治療やメンテナンスを受けて歯周病や虫歯のないお口を保ちましょう。そのことでいざという時に心配せずにすむだけでなく、生涯自分の歯を健康に保つことができます。なんとすばらしいことでしょう!

周術期のことについて書きましたが、歯の病気、特に歯周病は周術期に限らず糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞などの病気と関係があることがわかってきています。歯周病はもはや口だけでなく全身の、しかも命に直接かかわるような病気の原因になっています。

痛いから治療をするのではありません。お口の中を清潔にするために治療するのです。

 

1月休診のご案内

1月18日(月)院長研修会出席のため臨時休診いたします。

虫歯治療にラバーダム

この歯は模型ではなくて本物の前歯です。

青いシートはラバーダムといいます。

下の写真のようにラバーシートでお口全体を覆うようになっています。

一見患者さんはしんどそうに見えますが、実際はラバーダムをすることで楽に治療を受けていただけます。

歯科医も治療がうんとしやすくなります。

これをすることで治療する歯を口から隔離することができるので、治療する歯にお口の中の細菌が再び歯に入ってしまうことを防げますし、唾液で濡れてしまうことも防げます。

このことで治療した部分を将来再治療しないといけなくなる確率がグンと下がります。詰め物の下に細菌が入ってしまっても目に見えないですし、詰め物の上からがんばって歯を磨いてもフロスや歯ブラシは届かないですからね。

主には歯の根(神経)の治療をするときに使われますが、虫歯の治療にも有効です。そして治療するときに使う薬液や水が口の中に入らないので、患者さんには楽に安全に治療を受けていただけます。

このラバーダム、150年前にアメリカの歯科医が開発しました。

歯の根(神経)の治療をする場合、アメリカでは90%以上の歯科医がラバーダムを使いますが、日本では5%未満というデータもあります。

治療した歯が再び悪くなってしまうのはとてもとても残念なので、私どものクリニックではラバーダムを使います。

 

あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。

船曳歯科クリニックは昨日1月5日が今年の診療初めでした。

写真は神戸市役所北側の花時計です。絵柄は今年の干支“お猿”になっています。

毎年年末に翌年の干支に植え替えられています。

 

今年も予防を中心にした、虫歯と歯周病、咬み合わせ、顎関節症の治療に患者さんとともに取り組んでまいります。

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

11月休診のお知らせ

11月21日(土)28日(土)休診になります。

Blue Print(設計図)

歯の治療では、歯科医は歯を削る場合があります。

歯を削るともう元には戻りません。治療とはいえ患者さんの体の一部を傷つけることになります。他人の身体を傷つけて許されるのは、歯科医師か医師だけです。(プロレスやボクシングなどは例外はありますが…)

傷つけた以上、それを上回る結果を保証しなければなりません。

そこで、治療したらどうなるのか?をシミュレーションすることがあります。

治療後の結果を最大にするためです。

特に咬み合わせに関係する治療の場合は必要になります。

今から私ができること、やろうとしていることはどういうことなのか?治療する上で、どこがポイント(重要)なのか?患者さんの歯を削る前にまずその患者さんの模型を治療して設計図を作るのです。

  • 顎を動かす筋肉に過剰な負担を強いらなくてもすむように、歯を壊すような余分な力のストレスをなくすために、顎と歯のバランスのとれた咬み合わせを作るにはどうしたらいいか?
  • 上下の歯を咬み合わせた状態で顎が前後左右に動くとき、スムーズに動くには前歯の角度をどのようにすればよいか?スムーズな動きを邪魔するものはないか?
  • 奥歯の山と谷の位置をどこに設定すればうまく噛めるか?
  • 崩れた前歯を修復する場合、どのように前歯を設計すれば美しく見えるか?

などをこの作業中にしっかり検討します。

Blue Printを作ることで、治療後の状態をより正確にイメージすることができますし、行き当たりばったりの治療にならず計画的に治療を進めることができます。

何より、治療後の経過(予後)が安定します。

診療後に夜な夜なこのBlue Printを作ることがよくあるのですが、患者さんの顔を思い浮かべながらのこの作業は楽しいものです。

 

10月休診のお知らせ

今日から10月です。今年もあと3か月になってしまいました。

10月3日(土)13日(火)14日(水)休診いたします。

今日のクローズアップ現代は生体肝移植でした。

今晩のクローズアップ現代は、生体肝移植がテーマでした。

神戸のポートアイランドに去年11月に開設された「神戸国際フロンティアメディカルセンター」 この病院で生体肝移植の手術を受けた9人のうち5人が死亡するという事例を検証しながら生体肝移植について考えるというものでした。

「神戸国際フロンティアメディカルセンター:通称KIFMEC(キフメック)」ができていきなりの出来事。劇場であれば杮(こけら)落とし的な場面。絶対ミスは許されず、細心の注意が払われての準備から執刀、看護だったはずと思われます。それなのになんで?という疑問がありました。

今晩のクローズアップ現代では、その一端が紹介されていました。TVですので、事実はもっと深く一般人には分からないことが多いのだと思いますが、生体肝移植と脳死移植、国によっての違いなど勉強になりました。

解説としてゲスト出演されていた生命倫理が専門の橳島次郎氏によると、そもそも生体肝移植とは、ドナーとなる健康な人を傷つけて行う医療なので、倫理的には本来は「やってはいけないこと」というのが原則であるとのことでした。もっともなことです。

アメリカとフランスを例に出していました。どちらも肝移植手術は生体肝移植に比べて圧倒的に脳死移植が多いのですが、日本は逆に生体肝移植が全肝移植の約9割を占めるほど生体肝移植が盛んにおこなわれているようです。

その理由には、アメリカやヨーロッパでは生体肝移植にはさまざまな規制があって簡単に行えないが、日本には規制する法律がない。そのことで生体肝移植がある意味野放しになっているというのです。

日本は国の成長戦略の一環として医療産業を挙げています。KIFMECも海外からの患者を呼び込もうというのが狙いで、国も神戸市も生体肝移植を積極的に進めようとしているようです。しかし神戸市や兵庫県の医師会からは、そもそも原則としてはやってはいけない生体肝移植を積極的に進めるべきではなく、ましてや産業として利益追求をするべきではないという立場で抗議していました。

しかし一方、肝移植など命に直接かかわる場合、患者側からすれば生体肝移植であっても脳死移植であっても、その方法しかなければその方法にすがるはずです。日本のように脳死での臓器提供が少なく待機している患者が多い場合、生体肝移植に頼ることもよく理解できます。そのような強いニーズ(要望)があれば基準にとらわれずに移植に踏み切ることも理解できます。

橳島次郎氏は番組の最後にこう述べています。

はっきりしているのは、他の人から貰うということに頼っていたら生体移植にしても脳死移植にしても非常に限りがあって難しいので、他の人から貰わないで、臓器をとっかえなくても、その前に臓器の病気を治せるようにできる、それが本当の高度医療だと思うんですね。その高度医療を伸ばしてそれを医療産業として育成するんだという姿勢が日本では大事なのではないか。だから臓器移植の件数を増やすことを目標にしてはいけないし、それを医療産業の目玉にしてはいけないと私は思います。

最後のこの意見には、強く賛成します。結局求めるべきは予防なのです。

 

東京で歯医者さん向けの講演会

なんだか急に朝晩涼しくなってまいりましたが、体調崩されてませんでしょうか?

私は、先日13日の日曜日に東京で歯医者さん向けに講演をしてきました。

私たちのグループ(Good Smile Network)では、予防中心、患者中心、健康中心の質の高い歯科医療を広めるように活動してます。

私は、「顎関節から始まる Pankey/Dawson包括歯科医療とは?」というタイトルで咬み合わせの大切さ、そして歯だけを診るのではなくてその歯をもった人にかかわることの大切さをお話しさせてもらいました。

歯の咬み合わせは、顎の関節や顎を動かす筋肉、歯、歯を支えている顎の骨などに非常に大きな影響を与えます。

歯が揺さぶられて、グラグラと動いてくる場合もあります。口が開けにくい、顎が痛いなどのいわゆる顎関節症が起こることもあります。

咬み合わせの力が集中した歯がすり減ったり、壊れることもあります。

咬み合わせの力が原因で失われる歯も非常に多いのです。

虫歯や歯周病をフロスを使った正しいプラークコントロールで予防するのと同じように、咬み合わせのとても強力な力(奥歯では100kgになることも)で歯が壊されないようにバランスよく整えておくこともとても大事です。

何より、顎を含めて顎口腔系全体的に咬み合わせのバランスを整えることができれば、快適であるだけでなく、将来歯が残せる可能性が飛躍的に高くなります。

歯医者へ行くのは痛いとき!というのは、実にもったいないし、時代遅れです。

歯医者へ行くのは、自分の歯を守るため、信頼できる専門家(歯科医や歯科衛生士)に問題なし!と言わせるために行ってください。

80歳になって、全部自分の歯で、なんでもバリバリ食べられることがどれだけ価値あるものか?「先生、楽しみは食べることだけやわ」という言葉を耳にするたび、どうやら歯の口の健康は人間らしい生活を維持するのに必要なようです。

左の写真は、私のお師匠さんのお師匠さんのPankey先生です。

Pankey先生はこう言っています。

“I never saw a tooth walk into my office„

歯科医院へ歯が一人で歩いてくるのではありません。その歯を持った人がやってくるのです。よくよくその方のお話しを聞きましょう。必ずドラマがあるはずです。と教えてくれています。