Floss or Die

フロスか死か

1998年、アメリカの歯周病学会は、歯周病が全身の疾患(心内膜炎、心筋梗塞、糖尿病、動脈硬化、早産など)の原因になりえると発表し、マスコミがFloss or Dieとコピーを作ってキャンペーンを行いました。

それ以来日本でも、歯周病は命に係わる全身疾患と関係があるとし、歯周病の治療と予防が推進されています。

TVの健康番組でも、“歯周病を持った方が突然倒れる”というショッキングな再現VTRなどで紹介されたりしています。これらの番組は、むやみに不安をあおっているように思うので違和感を覚えます。しかし歯周病も重症化すると確かにそれらの危険性はあるので、かかりつけの歯医者さんで定期的にチェックしてもらい管理しておくことは大切なことです。

さて今回お話したいのは、このタイトル「Floss or Die」です。

このタイトルが、日本語に翻訳されて紹介されたそのタイトルは、「ブラッシングか死か」でした。「フロス」と訳しても日本では通じないと判断されたのでしょう。1998年当時、ここまで日本ではフロスが認識されていないのか?と残念に思いました。

その後、日本の歯科学会で「ブラッシングか死か」をいう同名のタイトルで学会が持たれました。専門家である歯科医が集まる会でも「フロス」が使われず、ここでも「ブラッシング」とされていました。こうなると“欧米との文化の違い”というレベルではないように思います。

歯ブラシは歯間部(歯と歯の間)にとどかないので、歯周病を予防するには歯周病がはじまるこの部分を他の何かを使って掃除しなくてはなりません。他の何かで推奨されるのが、フロスです。歯間ブラシも場合によってはとても有効な道具ですが、注意が必要です。(前回のブログ参照

しかし日本の歯科医院では、フロスを指導、推奨されることはまだまだ少ないようです。日本の歯科医療が、予防よりも壊れたところの修繕に重点をおいている現われでしょう。確かにフロスが使えるようになるには、最初に歯科医や歯科衛生士の指導が必要だと思います。フロスだけを買ってきてもなかなか使えないでしょう。特に日本では、家庭でフロスを使う習慣がないので、子どものころにフロスを目にする機会もほとんどありません。このこともフロスの壁になっていると思われます。

しかしフロスは虫歯予防と歯周病予防に有効です。子どもの頃からでなくても、目の前の患者さんに歯がある限り、地道にフロスの良さを伝えていきま~す。

フロスvs歯間ブラシ フロスの方が良い!歯間ブラシは注意必要

歯間ブラシフロス

 

 

 

 

 

虫歯や歯周病を予防するには、歯間部(歯と歯の間)を清掃することが大切です。歯周病や虫歯の多くは歯間部から始まります。

大切な歯を虫歯や歯周病から守るためには、歯ブラシ以外に歯と歯の間(歯間部)を清掃する道具が必要です。

代表的な歯間部を清掃する道具は、フロスと歯間ブラシですが、皆さんはどちらか使われていますか?

まずは歯間ブラシ。歯間ブラシは歯の側面のくぼんだところにもブラシがとどきやすいという点で有利です。しかし写真のように、歯間ブラシは、歯と歯の間の歯ぐきがとがっている部分(歯間乳頭部)を圧迫して刺激するので、そこの歯ぐきがやせてきて三角形の隙間ができます。毎日通していると必ずそうなります。食べたものが詰まりやすくなったり、前歯であれば、見た目にも影響します。歯間ブラシのサイズも細いもの(SSサイズなど)では物足りなくなって、太目のもの(MやLサイズ)が必要になってきます。すでに歯と歯の間の歯ぐきがとがっている部分(歯間乳頭部)が無くなっている場合を除き、利点よりも欠点の方が多く、お勧めできません。

一方フロスは、歯ぐきがとがっている部分(歯間乳頭部)を傷つけないので、歯ぐきがやせてくることはありません。そして歯ぐきの溝の中3㎜くらいまで歯の表面をこすることができます。

「使いやすい」「簡単」という一点で、歯間ブラシを推奨している歯医者さんも多いようです。フロスの使い方がわからない方は、是非かかりつけの歯医者さんか歯科衛生士さんに使い方を教えてもらいましょう。

歯間部にはほとんど歯ブラシがとどかないため、そこに細菌が停滞して住み着きます。その細菌(プラーク)によって、歯が溶けたり、歯ぐきから血が出たり、進行すると歯を支えている顎の骨が溶けてきます。予防するには、歯ブラシ以外にフロスを使うことが大切です。。。

歯間ブラシの弊害:この写真は、20歳代の女性で約1年間毎日歯間ブラシを使っていた方。歯ぐきのとがった部分(歯間乳頭)が退縮しています(〇印)。さらに使いつづけることで、さらに隙間が大きくなってくることが予測できます。

歯肉退縮

休診のご案内

1月25日(土)は、臨時休診となります。

年末年始 休診のご案内

12月29日(日)~1月5日(日)休診いたします。

新年は、1月6日(月)より診療いたします。

休診のご案内

12月11日(水)臨時休診いたします。

“I never saw a tooth walk into my office!”  Dr.Pankey

 

 

 

 

 

先週の土曜日 東京八重洲

私の所属するHDA(Holistic Dental Association)で、スタッフミーティングを行いました。その最後に歯科衛生士やアシスタント、受付など歯科スタッフに向けて、少しお話をしました。その中で、“I never saw a tooth walk into my office”というDr.Pankey http://www.pankey.org/about/history/の言葉を引用して、次のような話をしてきました。

<中略> 歯の(口の)病気で代表的なものは、虫歯と歯周病ですが、この2つの原因は「細菌」であることは、既にわかっています。そして生活習慣が深く関わっていることもわかっています。また多くの一般の方もそのことを知っておられます。

さて、「虫歯や歯周病を治す」とは、どのようなことをいうのでしょうか?虫歯を例に考えてみましょう。

・虫歯で溶けた穴を削って詰める(歯を失ったところへ入れ歯を入れたり、インプラントを入れるのも基本的に同じことです)
・もう二度と同じことを繰り返さないように、歯が溶けた原因を見つけて取り除く

さあ、どうでしょうか?歴史的にも前者(削って詰める)が歯の治療だと思われてきました。歯科医も一生懸命前者のような修繕を繰り返してきました。確かに必要なことです。しかし、後者の「その原因を取り除くこと」も当然大切なことだとお解かりのはずです。そのためには、失ったら戻ってこないのだと歯の大切さを真剣に考え、生活習慣に目を向け、自分と向き合ってもらう必要があります。ただ歯ブラシの持ち方や使い方のテクニックを教えるだけでは、うまくいかないのはそのためです。

実は、いまだにほとんどの虫歯の治療は、前者の「削って詰める」式の治療が行われています。

例えば次のような歯科医と患者さんの会話は、容易に想像できます。

  • 歯科医:今日はどうされましたか?
  • 患者さん:右下の奥歯の詰め物がはずれたんです。
  • 歯科医:どれどれ、なるほど。少し虫歯になっていますね。詰めておきましょう。
  • 患者さん:お願いします。

一連の詰める治療が終了

  • 歯科医:こことここにも虫歯があります。ついでに治療しておきましょうか?
  • 患者さん:お願いします。

一連の治療終了

  • 歯科医:歯石もついているので、取っておきましょうか?
  • 患者さん:お願いします。…

どうでしょう?この通りでなくても、歯科医と患者さんとの会話というのは、こんな感じではないでしょうか?

ここでの患者さんの言葉は、「お願いします」のみです。患者さんの主体性や自由な選択、自己責任は、まったくありません。このようなことが一生つづけば、歯が無くなっていくのもうなづけます。失ったらインプラントできるからいい?なんと愚かで恐ろしい発想でしょう。この歯科医の関心ごとは“(人格のない)歯”だけのようです。

はずれたときにどのような感じだったか?何か不安を感じたか?もし何も感じなかったのならなぜか?ある程度年数が経っているので、はずれても当然!と思っていないか?はずれてすぐに歯科医に連絡したか?そうでなければなぜか?その詰め物をしたのはいつ頃か?その治療をしたときは、どのような思いだったか???そのようなことを振り返ることで、その歯がその患者さんの身体の一部になっていきます。またまだその他にもたくさんの守るべき歯が口の中にあるかもしれません。

Dr.Pankey は言っています。

“I never saw a tooth walk into my office!” (私は、歯が自分の診療所に来たのを見たことがない) と

歯だけが歩いてくるのではなく、その歯を持った人が訪れてくるのです。歯だけを診るのではなく、その歯を持った人間を診なさい。と

患者さん自身が、自分の問題(虫歯や歯周病)にかかわらない限り、その問題は治りません。その歯を守るためにも、その他の歯を守るためにも、これからの人生歯で悩まないようにするためにも、本当に一生涯なんでも気にせず自分の歯で食事ができる、おしゃべりができるためにも、まず患者さんとかかわることです。<中略>

是非皆さんも、歯だけでなく、自分自身に関心を寄せてくれる歯科医、歯科衛生士、歯科医院を見つけてください。

われわれグッドスマイルの各診療所http://www.good-smile.com/m03_network/network.htmlでは、大阪の川村泰雄先生を通じて、アメリカのPankey研究所http://www.pankey.org/で研修を受け、Pankey先生の考え方で診療しております。

 

11月診療時間一部変更と休診のご案内

11月12日(火)午後休診となります。 (午前の診療は、午後1時まで)

11月13日(水)午後7時まで診療いたします。 (通常は水曜午後休診)

11月30日(土)休診いたします。

点字や触図で歯科治療説明

神戸市中央区の予防歯科

神戸大学医学部(神戸市中央区)と大阪大学歯学部のチームが、視覚障害者を支援するため、歯の病気、治療状況を点字や手で触れられる「触図」によって表現するシステムを開発したそうです。

自分の歯や歯ぐき、口の状況がどのようになっているのか?虫歯や歯周病にかかっているならなぜそうなったのか?なぜ治療が必要なのか?どのように治療するのか?治療するとどうなるのか?治療しなければどうなるのか?治療するのに痛みをともなうのか?時間や期間、回数はどれくらいかかるのか?これから歯を守るには(予防するには)どうしたらよいか?

これらの?(疑問)に対する答えは、一つではないことがほとんどです。また歯は全部で32本あり、それら1本1本の歯と、歯の周りの骨や歯ぐきについて、また全体的な傾向、顎や顎を動かす筋肉を含めた咬み合わせの調和(バランス)について、など一人の人の口には膨大な情報があります。

歯科治療においては、これらについて十分な理解が必要で、理解がないまま治療を急げば同じことを繰り返す可能性が高くなります。

また自分の歯やこれからの治療についてよくわからないうちに治療を受けるには、恐怖をともなうことも考えられます。いわゆるインフォームドコンセントが大切!ということになります。健常者でも最初に十分な理解を得るには、かなりの時間が必要になります。

私どものクリニックにも耳がご不自由な聴覚障害の方が数名おこしになられています。その方たちの治療には、十分なコミュニケーションがとれるように、お一人あたり1時間半~2時間の時間を確保します。コミュニケーションには、絵を描いたり(図示)、パソコンのワープロソフトとキーボードを使って会話したり、ときには筆談したりと、少々時間はかかりますが、ほぼ健常者と同じように意思疎通ができ、理解も得られます。

しかし視覚障害となるともう1段も2段も難しいことが予測できます。視覚情報を文字に置き換えるのはとても難しいからです。位置や形を言葉で表現するのはとても難しいのです。そのような場面で、点字や触図はとても有効であると思われます。

このシステムでは、歯科医が病名や症状をパソコンに打ち込むと、自動で点字に翻訳され、プラーク(歯垢)など汚れがある歯の場所を立体的に表現する触図ができるそうです。印刷には立体コピー機なるものが必要だそうで、一般開業医への普及はもう少し時間がかかりそうですが、とても大切なことだと思います。

歯を守るためにも

歯科治療への恐怖をなくすためにも

 

10月休診のご案内

10月15日(火)~18日(金)休診いたします。

10周年を迎えて

船曳歯科クリニックは、この10月で10周年を迎えました。これもひとえに私どものクリニックを必要としていただいた皆様のご理解とご協力があってのことと深く感謝しております。10周年を迎えることができ、素晴らしい方々に囲まれて仕事ができる幸せを改めて感じています。

人は歳を重ねるごとに歯の大切さを必ず感じるようになります。少しでも多くの人にまず口の健康を取り戻していただき、正しいメンテナンスで大切に守っていただきたい、そして歯や口のことで思い悩まず生涯を全うしていただきたいと願っています。それを手助けすることが歯科医として私のするべきことです。患者さんの口の中にいろいろな修復物(つめ物・冠・ブリッジ・義歯・インプラントなど)を入れるのが仕事なのではありません。

10年経ち、歯科医の仕事は、その場限りの仕事ではなく、定期的なメンテナンスを通して患者さんの生涯とともに歩める職業であることに喜びと誇りを感じています。まだまだ日本では稀少ですが、予防中心の治療方針に間違いはなかったと確信しております。

今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。