咬み合わせによる歯の痛み

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上の奥歯が痛くて噛めないということでした。

診察してみるとどうやら痛いのは一番奥の歯のようです。

左の写真は、赤い色のつくリボンを咬んでギシギシ歯ぎしりしてもらった後の上の奥歯です。

虫歯や歯周病の徴候はありません。

では痛みの原因は何なのか?ヒントは赤い色のつき方にありました。一番奥の歯に一番ハッキリと広い面積で赤い色がついています。

奥歯のこの部分にこのように色がつくということは、下の奥歯とこの部分でこすれ合っているということです。

一番奥の歯ですので、かなり強い力がかかります。軽く50kgくらいの力はかかるでしょう。もしかすると100kg近くの力がかかるかもしれません。

下顎には口を閉じる(下顎を上に引っ張る)筋肉が3種類ついています。どの筋肉も下顎を強い力で引っ張りあげます。その力を歯が支えています。

歯に対してその力のかかる方向が重要です。

奥歯は、その歯の軸に対してまっすぐにかかる力にはかなり抵抗できるような構造になっています。しかし斜めに力がかかると、図のように歯の根の中央あたりを軸にしてねじられるような力がかかります。

左右にギシギシと歯ぎしりをすればさらに揺さぶられる力は増します。歯ぎしりをするときに奥歯がひっかかっているような状態になっているのです。

この方向に毎日毎日何時間も50kg以上の力がかかれば痛くなるのも想像できます。

歯にかかった力は歯の周りの歯根膜にあるセンサーで電気信号に変換されて脳に送られます。脳でその信号が計算されて今度は脳から顎の筋肉に力をコントロールするよう信号が送られ咬む力がコントロールされています。

今回のよに突然強い痛みが起こるような急性の場合は、そのコントロールが追い付かないほどいつもより強い力がいつもより長くかかっていることが考えられます。

このような患者さんは、寝不足がつづいていたり、不安を感じられていたり、どこか別の場所に痛みがあったり…といわゆるストレスをかかえていることが多くあります。

それに加えてこの方の場合は、前歯に特徴がありました。まっすぐ咬んでも上下の前歯があたらないのです。このことで下顎を前後左右どこに動かしても奥歯にしか当たらないとう状態になっていました。さらに奥歯に負担がかかる構造になっていたのです。

そこで奥歯にかかる斜めの力を軽減させるために咬み合わせの調整をしました。

写真左の黄色枠の部分を少し削って、写真右のように上下で接触する面積を小さくしました。斜めにかかる力を減少させたのです。

歯を調整した量は写真を見てもほとんどわからないくらいわずかですが、その瞬間から「軽くなった感じがします」「ギシギシしても痛くないです」と効果ははっきりみられました。

一件落着です。。。

このように障害になるような過度な力がかかりつづけると、歯が揺さぶられつづけることでグラグラと動いてくるかもしれません。歯周病が急速に進むかもしれません。

あるいは歯が過度にすり減って表面のエナメル質がなくなることはよく見られることです。エナメル質がなくなればその下にある象牙質がむき出しになるので知覚過敏のピリピリ痛む症状が強くなるかもしれません。

あるいは歯が割れてしまって、もっと激しい痛みを経験し、抜歯が必要になって歯を失うかもしれません。

あるいはこの歯が原因でくいしばりや歯ぎしりの傾向が強くなって、顎の筋肉だけでなく首や肩の筋肉の痛み(凝り)が激しくなるかもしれません。

このようなことがいくつか重なることも考えられます。

その力は、歯を壊してしまうほどの力かもしれません。

今回のポイントをまとめてみますと…

歯が痛む原因は、虫歯と歯周病以外にも考えられる

診断するには、細かく丁寧な診察とインタビュー(問診・聞き取り)が必要

処置をする前には必ず前述のようにその原因と処置の方法、処置をした後の症状改善の見通しを丁寧に説明し、理解してもらうこと

咬み合わせの力は、一般的に想像されているよりもかなり大きい

咬み合わせの力の影響は毎日毎日何十年とつづくことが考えられるので、ポディーブローのようにジワジワ効いてくることが多い

痛みなどの症状が出る場合はいよいよ限界を超えた状態のことが多いので、歯にとって危険信号と考えた方がいい

今回は痛みの症状がでたこの歯1本だけに焦点を当てましたが、口の中にはたくさんの歯があります。1本の歯が他の歯に影響を与えますし、他の歯がこの1本の歯に影響を与えています。歯に限らず、顎の骨や歯ぐき、顎を動かすや筋肉や関節、神経や血流はそれぞれに影響し合っているのです。

神戸 三宮 各線三宮駅からフラワーロードを南へ約5分 神戸市役所東向かい
船曳歯科クリニック 078-222-8020

 

 

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