歯を削るともう元には戻りません。治療とはいえ患者さんの体の一部を傷つけることになります。他人の身体を傷つけて許されるのは、歯科医師か医師だけです。(プロレスやボクシングなどは例外はありますが…)
傷つけた以上、それを上回る結果を保証しなければなりません。
そこで、治療したらどうなるのか?をシミュレーションすることがあります。
治療後の結果を最大にするためです。
特に咬み合わせに関係する治療の場合は必要になります。
今から私ができること、やろうとしていることはどういうことなのか?治療する上で、どこがポイント(重要)なのか?患者さんの歯を削る前にまずその患者さんの模型を治療して設計図を作るのです。
- 顎を動かす筋肉に過剰な負担を強いらなくてもすむように、歯を壊すような余分な力のストレスをなくすために、顎と歯のバランスのとれた咬み合わせを作るにはどうしたらいいか?
- 上下の歯を咬み合わせた状態で顎が前後左右に動くとき、スムーズに動くには前歯の角度をどのようにすればよいか?スムーズな動きを邪魔するものはないか?
- 奥歯の山と谷の位置をどこに設定すればうまく噛めるか?
- 崩れた前歯を修復する場合、どのように前歯を設計すれば美しく見えるか?
などをこの作業中にしっかり検討します。
Blue Printを作ることで、治療後の状態をより正確にイメージすることができますし、行き当たりばったりの治療にならず計画的に治療を進めることができます。
何より、治療後の経過(予後)が安定します。
診療後に夜な夜なこのBlue Printを作ることがよくあるのですが、患者さんの顔を思い浮かべながらのこの作業は楽しいものです。