
写真1 真ん中の歯
Q:削って詰めれば虫歯は治るのか?
A:NO!!
【写真1】 真ん中の歯の治療です。すでに治療されている歯ですが、 レントゲン写真で詰め物の下で歯が溶けているとこがわかりました。外から見るかぎり、穴は開いていません。
【写真2】なんと金属の詰め物は削らなくても簡単にはずれました。
【写真3】はずしてみると、詰め物の下はレントゲン写真の通りに歯が溶けていました。 黒くなっている部分が溶けている(虫歯になっている)部分です。
【写真4】 溶けているところ(細菌に感染しているところ)を丁寧に取り除きます。 歯髄(神経)は露出しませんでしたが、歯髄に近づいています。 実は結構大きく深い虫歯です。 このあとは、細菌が再び歯の中に入らないように大きな穴を詰め物で密閉します。
ご覧のように、虫歯を削って詰めることは虫歯の治療です。
Q:削って詰めれば、虫歯は治るのか?
正しい答えは、
A:その歯から(一時的に)虫歯は無くなりますが、虫歯という病気が治った訳ではありません。
?? お分かりいただけますでしょうか?
虫歯は、歯が溶ける病気です。
虫歯を削って詰めれば、その歯から一時的に虫歯は無くなりますが、歯が溶けなくなる訳ではありません。
歯が溶ける原因を無くさないかぎり、削って詰めても歯は溶けつづけるでしょう。
この写真の場合も、過去に削って詰める治療を受けている歯です。しっかり虫歯が再発していました。
虫歯治療で大事なことは、歯が溶けた原因を真剣に探し、見つかったならその原因を確実になくすことです。
写真の患者さんは、デンタルドックで、口の中を隅々まで調べられたことでこの虫歯が発見されました。そして虫歯の原因も特定でき、その後虫歯の原因を除去してきました。
そしてようやく削って詰める治療の準備が整ったのです。
なぜ歯が溶けたのか?という疑問が解決されないまま歯を削ってしまうことの恐さを私たち歯科医はよく知っています。
幸いこの患者さんは、原因除去に成功してから写真のような治療ができたので安心です。
どうしても歯を削る治療が必要な場合、絶対歯を削るのはこれで最後にする!という強い目標設定が大切です。
そのためには、科学的な戦略を立てる必要があります。
その戦略は、デンタルドックから始まります。