ジョン・コルトレーンと歯

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。

さあ2022年が始まりました。今年はどんな年になるでしょうか?

年末に、間違いなくジャズジャイアントの一人であるJohn Coltraneのドキュメンタリー映画『Chacing Trane』を観てきました。

映画のいたるところで「スピリット」とか「スピリチュアル」という言葉が出てきました。

まさに『魂の音』というような意味だと思います。

音楽や音については、私には批評などできないので割愛いたしますが、Jazzの映画なので音楽はかっこよくて気持ちよかったです。

ところでWikipadiaによると、John Coltraneは甘党で虫歯だらけだったという記述があります。

ミュージシャンで、しかも管楽器奏者で虫歯だらけとは… 致命的なように思いますが、実際はどうだったのでしょうか?

歯医者嫌いだったという記述もあるところから、きっと痛みに耐えながら演奏していたのではないか?と想像します。

中心感染説

1950年頃までの西洋の歯科医療には中心感染説なるものがありました。

虫歯が進行して歯髄(歯の中にある神経や血管)に達した場合、現在では神経を抜いて根の治療をして歯はできる限り残す。という考え方が一般的ですが、1950年頃までは神経を失った歯は細菌の温床となり心臓などに感染を起こさせる原因になり命に係わる。ということですべて抜歯することが一般的でした。

現在では、この考え方は完全に否定されています。(重度の歯周病では、心筋梗塞や脳梗塞、心内膜炎、糖尿病、関節炎や腎炎などの原因になることがあります。)

中心感染説が信じられていたそのころまでの歯科治療は、抜歯と総義歯(総入れ歯)の世界だったそうです。

コルトレーンが活躍していた1950年~60年代には、この中心感染説はすでに否定されていたようですが、アメリカの歯科界は「抜歯と総義歯の世界」から脱却していく過渡期だったとも言えます。

ですので、1950年代では、虫歯で歯医者へ行けばすぐに抜歯されてしまう可能性もまだ高かったのではないかと思います。

虫歯だらけであれば、「すべての歯を抜かれて総入れ歯になってしまう」「総義歯ではもう演奏できなくなるのではないか?」という強い恐怖があったことも想像できます。

当然ですが、このような記述を見ない限り、録音されたコルトレーンの音からは虫歯の存在はわかりませんが、「虫歯だらけ」が本当ならかなり苦労されていただろうと思います。

虫歯の痛みがひどければ、「魂の音」は生まれないと思います。

以前にも書いたチェット・ベイカーの場合(チェット・ベイカーと歯)もそうですが、ミュージシャン、特に歌手や管楽器奏者にとって「歯は命」のはずです。

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船曳歯科クリニック 078-222-8020

 

年末年始 休診のご案内

12月29日(水)~1月5日(水)休診いたします。

年末は12月28日(火)まで、年始は1月6日(木)より診療しております。

被せ物の下②

前回のブログhttps://www.funabiki-8020.com/blog/archives/2024では、左写真のようにブリッジとクラウンをはずして中の様子を確認しました。

歯ぐきのラインに沿って歯が溶けています。

これはかぶせ物の縁(歯と修復物の境目)にある隙間からミュータンス菌に代表される虫歯菌が入り込んで中にある歯を溶かしてきた結果です。

次の段階では虫歯で溶けた部分(細菌が感染している部分)を取り除くのですが、右の2本(小臼歯)には金属の土台が入っています。

この金属の土台と歯の境目にそって虫歯が進行しているので、金属の土台も取り外す必要があります。

残っている本当の歯の部分は、かなりもろくなっていると思われるので、金属の土台を取り外すのはゆっくり慎重に行います。

左の写真は、土台(コア)を取り外し、虫歯(細菌が感染している部分)を完全に取り除いて、次の土台を作る準備をしたところです。

感染している部分(虫歯)を取り残してしまうと、治療が終わった後も歯の中で虫歯が進行していく可能性を残すことになります。

もう二度と土台をはずすことのないように、完璧な治療を目指します。治療後に虫歯が再発すると次は抜歯になるはずですから…。

でもほとんど歯がなくなってしまって、ほぼ歯の根っこだけが残るだけになりました。

しかも写真右側の歯(第1小臼歯)には亀裂(ヒビ)が見えます。

幸い完全に歯が割れている徴候はありませんので、この歯を守るために最善を尽くします。

そしてここに新しい土台をつくりました。

右側の金色の金属がその土台です。

今度は隙間ができないように慎重に治療します。

土台(コア)までできました。

次は上に被せるクラウンとブリッジを作っていきます。

~つづく~

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休診の案内

12月22日(水)休診いたします。

被せ物の下…

右下の奥歯です。

いわゆる被せる治療(クラウンとブリッジ)をしています。

歯ぐきとの境目に注目してください。黒くなっているのがわかりますか?

虫歯で黒くなっている場合もありますし、このような場合すでに歯髄を失っていることが多いので、黒っぽく見えても虫歯ではなくて歯そのものの色が黒く変色しているのかもしれません。

このケースの場合はその両方です。

黒くなっている部分を金属の器具で引っかいてみると表面がポロポロと崩れるので歯が溶けていることがわかります。

被せているクラウンをはずしてみましょう。

歯ぐきのラインに沿って歯が溶けています。

右側の2本の歯には大きな金属の土台が入っていますが、その縁に沿って虫歯が進行しています。

このようにクラウン(かぶせ物)の中まで進んだ虫歯は、クラウンをはずさない限り完全に虫歯を取り除くことはできません。

何回目?

はたしてこの歯にとってこの度の治療は何回目なのでしょう?

少なくても2回目、おそらく4~5回目でしょう。

さすがにこれで終わりにしなければ、次は歯を失う(抜歯する)ことになります。

今回が歯を残せる最後のチャンスです。

この方はまだ40代前半の女性です。

この方の寿命はわかりませんが、平均寿命が延びていることを考えるとざっとあと50年。

歯科医の私にとっても、この患者さんにとっても大きなチャレンジです。

次のブログで、この歯の治療をしていきます。

~つづく~

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休診のご案内

12月8日(水)は臨時休診いたします。

奥歯を揺さぶる力

右下の奥歯が痛いということで来られました。

噛むと痛いので、右で噛むことはできないそうです。左で噛んでいても右の上下の歯があたると痛むので食事に時間がかかり、痛まないように気を使いながらの食事になっています。

一番奥と奥から2番目の歯にセラミックの歯が被せてあります。

診察したところ、虫歯や歯周病の徴候はありません。

どうやら咬み合わせの力による歯の痛みのようです。

上の歯と咬み合わせた状態で歯ぎしりをすることで、下の奥歯が揺さぶられるために起こる痛みです。

赤いリボンを咬んでもらったまま歯ぎしりをしてもらいました。すると上の写真のように上下の歯があたる部分が赤く印記されます。

一番奥の歯に一番多く赤いマークが印記されています。

この歯の特徴を整理してみましょう。

一番奥の歯である

一番奥の歯ということは、顎を「てこ」に例えたときに支点(顎関節)に一番近い歯ということになります。一番強い力がかかるわけです。

強い力で揺さぶられている

赤いマークが多くついていることから、その歯が一番強く揺さぶられてることがわかります。矢印の方向にすごい力で揺さぶられています。

セラミックで修復されている

さらにその歯はセラミックで覆われています。天然の歯よりも硬い材質なので、歯に加わる衝撃も強く、上下の奥歯の間での干渉の影響を受けやすくなっています。

この歯にかかる力はかなり強く、少なくとも50kg以上の力はかかっているでしょう。100kg近くの力がかかっているかもしれません。まさに破壊的な力です。

次にこの力で起こる可能性があることを挙げてみます。

  • ・セラミックが欠ける
  • ・歯が割れる
  • ・相対する上の歯が過度にすり減る
  • ・相対する上の歯が欠ける、割れる
  • ・歯を支えている顎の骨が吸収される(歯周病が進行する)
  • ・痛みがつづく
  • ・筋肉の反射(緊張性歯根膜咀嚼筋反射)によってさらにくいしばるようになる
  • ・顎の筋肉の痛み
  • ・口が開けにくくなる
  • ・頭痛 など

今回の場合、この歯に揺さぶる力がかかっていた部分(赤いリボンのマークが付いていた部分)を注意深く削り取るように咬み合わせをわずかに調整しました。

写真で少し黄色く見える部分が調整した部分です。

調整することで矢印の方向へ揺さぶられる力がかなり弱まり、歯の痛みは嘘のようになくなりました。

歯の痛みの多くがその歯にかかる力のストレスであることが非常に多いです。

この患者さんの年齢は30歳代ですが、人生100年時代と考えるとあと60~70年もあるのです。

これから先、できるだけ今回のようなトラブルがおこらず快適に過ごすためには、細かな咬み合わせのチェックと、適切なときに調整することが必要です。

歯の管理、というものは細かな確認と調整の繰り返しなのです。

私たちのクリニックの定期的なメンテナンスはこのために行なわれています。

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飲む〇〇

コンビニスイーツで飲む〇〇というのが流行ってるそうです。

ということでリサーチしてみました。

これまでも飲むヨーグルトがありましたが、さらに飲むパンケーキ、飲むレアチーズケーキ、果ては飲む大学芋までありました。

特にOLに人気だそうです。

飲んでみました。

どれもドロッとしていて、当然ですがどれもむちゃくちゃ甘い…。。。

大学芋の場合、原材料名から一番多く含まれているものは大学芋となっていますが、その大学芋の中にも上白糖と水あめが入っています。

大学芋以外にもグラニュー糖、黒糖などが入っています。

炭水化物は全体で29.5gになっています。

その中の砂糖の量はわかりませんが、サツマイモ分を差し引いてもかなりの砂糖だと思われます。

WHO(世界保健機関)のガイドラインでは、1日の砂糖摂取量の目安を1日に摂る総エネルギー量の5%未満に抑えるべきとなっています。

計算するとこれは砂糖25gに相当するので、これ1本でほぼ1日分ということになります。

しかし歯科医の私が心配するのは、カロリーよりも虫歯です。

これだけの砂糖、しかもドロッとしていて飲み終わった後も甘さが長く口に残ります。

歯の表面に長い時間砂糖が貼りつきます。

歯の表面が細菌の分厚い層で覆われていたり、詰め物と歯にわずかでも隙間があったり、小さくてもすでに虫歯の穴があったりするとそこに砂糖が流れ込みます。

隙間や穴の中は、舌や頬や唇は絶対にあたらないですし、歯ブラシやフロスも絶対に届かないので、そういうところにはミュータンス菌が何にも邪魔されずぬくぬくと生活しています。

そこに砂糖が流れ込んでくるとミュータンス菌がそれを待ち構えていて、盛んにその砂糖を分解してエネルギーに変え、ミュータンス菌は分裂して爆発的に数を増やし、ダラダラドロドロと乳酸を作ります。

その酸で歯が溶けてしまうのが虫歯です。

歯が溶けてしまうと元にもどりません。

また歯が溶けただけではまったく痛くないので、かなり進行しないと虫歯の存在に気づきません。

虫歯が歯髄に達するようになると、歯髄炎を起こして、今度は猛烈に痛む場合があります。そして歯髄(神経)を失うことになります。

そして多くの部分を失った歯は強度が低下するので、割れる可能性が高くなります。

歯医者がどれだけ完璧に治療しても歯と修復物の間につなぎ目ができるので、元に戻るわけではありません。

飲む〇〇

甘い味と、かわいくてやさしいイメージのパッケージとネーミングで体に悪そうなイメージはまったくありませんが、このような砂糖いっぱいドリンクを毎日飲むことは非常に恐いことなのです。

歯を大切にしたいならできるだけ飲まないこと、飲むとしても週1回とかにしましょう。毎日はやめましょう。

このような砂糖が非常に多く含まれる飲み物や食品を毎日、しかも1日に何度も口にすることは、虫歯が多い人、虫歯の治療(虫歯を削って詰めるまたは被せるというような修復治療)を繰り返している人にほぼ間違いなく共通した習慣です。

また多くの場合、そのような人は砂糖が虫歯の原因になることは知っていても、自分が毎日口にしているものがどのようなものか?それが歯を溶かす一番の原因であるとは思っていません。

歯医者で削っては詰めての虫歯の治療を散々受けてきた人でも、その原因が毎日口にしている砂糖だとは知らないのです。

歯医者で教えてもらわないのでしょうか?

ここが極めて不思議ですし、残念なところですが、多くの場合教えてくれません。

今口の中で何がおこっているのか?現状を調べる時間、歯が溶けた原因を突き止めるための時間、歯が溶けた原因と考えられる習慣について話し合う時間、いままでの歯科経験について話す時間、これからどうありたいか?どうできるか?を歯科医と相談する時間、そのような広い意味での現状を理解する時間がないのです。

歯医者と話すことは、金属にするか?セラミックにするか?インプラントにするか?ブリッジにするか?部分入れ歯にするか?保険にするか?自費にするか?その利点・欠点?

そんなことばかりです。

歯科医はもっと本質的なことを伝えるべきだと思います。

なぜあなたの歯が溶けるのか?というような。

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【本日のラバーダム】歯と歯の間の虫歯

まずは、ラバーダム(写真の青いラバーのシート)をします。

歯と歯の間にできる虫歯の場合、砂糖入りの清涼飲料水が主な原因かもしれません。よく見ると一番上の歯と真ん中の歯の間が黒く透けているのがわかります。

とにかく砂糖が大きな原因であることに間違いはありません。

歯と歯の間が溶ける場合、隣り合う2本の歯にまたがって溶けていることが多く、その場合治療する歯も2本になります。

またこのような場合、穴の開いている場所は歯と歯が接している部分なのですが、穴の入り口から虫歯を取り除く(削る)ことはできないのです。隣に歯があるので器具が入らないのです。

どうしても虫歯を取り除くために上から削ることになります。

そのため一番上の歯は歯の後の壁が、真ん中の歯は歯の手前の壁が、虫歯治療のためになくなってしまうのです。

当然歯の強度が失われてしまいます。

2枚目の写真は表面のエナメル質を取り除いたところですが、中が黒くなっているのがわかります。これから慎重に感染している象牙質を取り除いていきます。

3枚目の写真も治療の途中経過です。穴の中がうっすら赤くなっているのがわかりますでしょうか?虫歯の取り残しがないか、虫歯を染め出す染色液(齲蝕検知液)で染め出して確認しています。ここで完全に取り除いておかないと、いまから詰める詰め物の下で歯が溶けつづけることになるからです。

【齲蝕検知液】
象牙質が分解されると分子量が小さくなるので、正常な象牙質には入り込めないけれど、分解されて小さくなった部分には入り込める大きさの色素がこの検知液なのです。

ここから先は、歯髄に近づくためさらに慎重に進めます。

モーターのついた器具で削り取るのですが、少しずつ進めるために回転数は極力小さくします。

回転数を小さくすると削り取る効率は落ちますが、歯髄を守ることが優先されるので少々時間がかかってもゆっくり丁寧に感染している象牙質を取り除きます。

感染している部分を完全に取り除いたあとは、もとの形を取り戻すように修復していきます。

まず失った壁を復元するために、薄い金属製のプレートで仮の壁を再現します。

この金属の壁が隙間なくピッタリ歯に沿わなければなりません。

わずかでも隙間があればそこから詰め物の樹脂が漏れ出してしまいます。

わずかに漏れ出した樹脂が固まってしまうと、器具の届く微調整できる場所であれば固まった後に削って調整できますが、器具の届かない部分で漏れ出すとやっかいになります。

もう一度詰め物を削り取って詰めなおす場合もあります。

今回は無事に修復できました。

この2か所の虫歯の治療をするために、治療室に入られてから出られるまでに約1時間半の時間がかかっています。

患者さんもおよそ1時間に渡って口を開けていることは大変だったでしょう。よくがんばっていただきました。

これでこの2本の歯から虫歯はなくなりましたが、これだけでは歯が溶けなくなったわけではありません。

歯が溶ける「虫歯」という病気が治ったわけではないのです。

大切なことは、もうこれから歯が溶けないようにすることです。

この患者さんの場合、今回の治療をする前にデンタル・ドックを行い歯が溶けてしまう原因を突き止め、その原因をなくすように完璧なプラークコントロールを習得され、毎日そのプラークコントロールを実践されています。それとともにシュガーコントロールも積極的に行われています。

ここまで準備するために、数か月の時間を費やされ、がんばられました。

虫歯のリスクを最小限にした上で、今回の充填処置(虫歯を削って詰める治療)に臨んだわけです。

とにかく早く治療を終わらせたいと考えられる方にとっては、この数か月の時間を長く感じられるかもしれませんが、これから一生かけてずっと「削って詰めての終わりのない治療」を繰り返えすことを考えると、このような時間を過ごすことはとても貴重な経験になります。

言い換えれば、削って詰める虫歯治療を繰り返されている方は、このあたりの問題が解決されていない可能性があります。

急がば回れといいますが、長い目でみると結果的に歯の治療にかける時間も最小限にできるのです。

このように虫歯の治療というのは、削って詰めるだけではなく、その原因をなくし、その状態を一生継続することです。

そのほとんどの部分は、歯科医や歯科衛生士が行うことではなく、それぞれの方が自分自身でされることです。

私たち歯科医や歯科衛生士ができることは、せいぜいその方法を伝えたり、それがうまくいっているか確認し、応援することなのです。

虫歯治療の主役はあくまで患者さん本人なのです。

虫歯治療は、今のことだけではなくて、将来歯のことで苦労せず、好きな物がなんでも気にせず噛んで食べられて、気持ちよく過ごすための投資でもあります。

私どものクリニックでは、いわゆる「削って詰める治療」を急がず、まずは皆さんの将来ためには現状をどのように考えて、どうしておいたらいいのかを皆さんと一緒に考えていきます。

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伊丹十三監督のタンポポ

1985年の伊丹十三の映画「タンポポ」を久しぶりに見ました。

山﨑努、宮本信子、役所広司、渡辺謙、安岡力也、大滝秀治、黒田福美、橋爪功、津川雅彦など、そうそうたるキャストです。

一つの幹になるストーリーが展開していく中に、別のいくつものストーリーが入ってくるオムニバス的な映画です。35年以上前の映画ですが、今でも十分面白い。

全編「食」がテーマになっていますが、その中に左の写真のような歯の根の治療(根管治療)のシーンが出てきます。

このシーンを見て違和感があったのですが、皆さんは気が付かれますか?写真ではちょっとわかりにくいかもしれません。

歯科医もアシスタントもグローブをしていないのです。

歯科医であった私の父もそのころは素手で治療していました。今では考えられないことですが、35年前は確かにそれがスタンダードだったのです。

日本の歯科治療にグローブが普及し始めたのは、1990年代初めごろ。私が歯科大学の学生のころでした。

このグローブの習慣の普及のきっかけは感染症のエイズでした。

神戸の元町で日本ではじめてのエイズの患者が認定されたのが1987年でしたが、それ以降感染予防に対する意識が高まり、いまではグローブをして治療することがスタンダードになっています。

当時私は、このように大きな出来事や時代の流れでスタンダードというものは変わっていくのだということを経験しました。昔の常識はいまの非常識、ということもよくあることです。

左は私どものクリニックでの治療の様子ですが、皆さんご存知のように今ではグローブがスタンダードになっています。

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