伊丹十三監督のタンポポ

1985年の伊丹十三の映画「タンポポ」を久しぶりに見ました。

山﨑努、宮本信子、役所広司、渡辺謙、安岡力也、大滝秀治、黒田福美、橋爪功、津川雅彦など、そうそうたるキャストです。

一つの幹になるストーリーが展開していく中に、別のいくつものストーリーが入ってくるオムニバス的な映画です。35年以上前の映画ですが、今でも十分面白い。

全編「食」がテーマになっていますが、その中に左の写真のような歯の根の治療(根管治療)のシーンが出てきます。

このシーンを見て違和感があったのですが、皆さんは気が付かれますか?写真ではちょっとわかりにくいかもしれません。

歯科医もアシスタントもグローブをしていないのです。

歯科医であった私の父もそのころは素手で治療していました。今では考えられないことですが、35年前は確かにそれがスタンダードだったのです。

日本の歯科治療にグローブが普及し始めたのは、1990年代初めごろ。私が歯科大学の学生のころでした。

このグローブの習慣の普及のきっかけは感染症のエイズでした。

神戸の元町で日本ではじめてのエイズの患者が認定されたのが1987年でしたが、それ以降感染予防に対する意識が高まり、いまではグローブをして治療することがスタンダードになっています。

当時私は、このように大きな出来事や時代の流れでスタンダードというものは変わっていくのだということを経験しました。昔の常識はいまの非常識、ということもよくあることです。

左は私どものクリニックでの治療の様子ですが、皆さんご存知のように今ではグローブがスタンダードになっています。

神戸 三宮 各線三宮駅からフラワーロードを南へ約5分 神戸市役所東向かい
船曳歯科クリニック 078-222-8020

 

石川紅奈さんの Off the Wall

たまたまYoutubeで見つけたジャズミュージシャン、石川紅奈さんです。

東京のライブハウス「Cotton Club」で2021年8月24日(火)に行われた神戸出身の世界的ピアニスト小曽根真さんのライブ “OZONE 60 in Club”での演奏のようです。

【動画はこちら】

曲はマイケル・ジャクソンの“Off the Wall”

1979年にリリースされたマイケル・ジャクソンのアルバム“Off the Wall”のタイトル曲です。

オリジナルは今にも踊りだしたくなるようなダンサブルな曲ですが、紅奈さんはグルーブ感のあるベースラインをウッドベースで弾きながら、しっとりと歌っています。

女性ベーシストが演奏しながら歌うというスタイルは、アメリカの同じく女性ベーシストのエスペランサ・スポルディングと似ていますが、エスペランサも同じアルバム“Off the Wall”の中の別の曲“I Can’t Help It”をベースを弾きながら歌っています。

個人的には、それを意識しての“Off the Wall”かな?と思っています。

前置きが長くなりました。この動画で彼女のアップになったときに口元が見えますが、矯正器具(ブラケットとワイヤー)がついています。

歌声を聞く限り、まったく矯正中だとはわかりません。

矯正治療は1か月に1回の通院で矯正器具を調整していくことが多いですが、調整後数日間は痛みがあり食事がしにくかったり、上下の歯をあてただけでも痛いことがあります。

しかしステージに立つ日と矯正治療に行く日を調整すれば、彼女のように両立は可能だと思います。

これからステージに、しかもフロントに立ちつづけるミュージシャンであれば、口元はとても重要でしょう。

以前のブログ 「Tom Scott のアルバムジャケット」に書きましたが、ジャケットにわざわざ矯正器具を付けている写真を使っているアルバムもあります。

是非矯正治療もがんばって、ますます活躍してほしいです。

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失った歯を補う方法

進行した歯周病

もちろん抜歯せずに問題が解決できるならば、抜歯せずに歯を残すことに全力をつくします。

しかし、このように進行した歯周病を治す最良の治療法は抜歯です。

抜歯することで、つぎのようなことが解決できます。

〇噛んだときの痛み 〇歯がグラつく不快感 〇口臭 〇歯ブラシをあてたときの歯ぐきの痛みと出血 〇血管の中に入った歯周病菌が全身を巡りつづけることで起こるリスク 〇将来の不安 などなど

現在の歯科治療では、失われた歯を補う方法は基本的にブリッジ、入れ歯、インプラントの3種類ですが、この患者さんの場合は、上の歯にブリッジ、下の歯にはブリッジと入れ歯を使いました。

まずは、患者さんの手で正しくプラークコントロール(歯の手入れ)ができるようにその方法を知っていただきます。徹底したプラークコントロールとこれまで毎日されてきた歯磨きとの違いに多くの方は驚かれます。

次にどうしても患者さんの手では届かない1本1本の歯の中と外に住み着いている細菌を取り除き、口の中の細菌の数をさらに減らしていきます。歯の中に細菌が住み着いている場合はその部分の歯を削り取り、細菌の巣になっている歯石がついている場合はそれを取り除きます。

口の中の細菌の数が減って清潔になったら、咬み合わせを安定させていきます。治療用の冠やブリッジ、治療用の入れ歯を微調整しながら、顎の関節がもっとも安定する位置を基準に、顎にかかる大きな力をできるだけ多くの歯に均等に分散できるように快適な咬み合わせを設計していきます。顎の位置から計算するわけです。

このような手順で治療しますので、いきなり写真のようにきれいになるわけではなく、この患者さんの場合全体の治療に50回以上、約1年かかっています。

本当によくがんばられました。いくつかの歯を抜歯することから始まった時間のかかる今回の治療を受け入れられた患者さんの勇気と、毎日の完璧なプラークコントロールをつづけられるご努力に敬意を表したいと思います。

治療後も定期的なメンテナンスには必ずお越しになられ、治療が完了してから5年以上経過していますが、いまでも問題なく快適に過ごされています。

治療後時間が経った今、患者さんといっしょに“よかった”と言い合える、感じ合えるメンテナンスの時間はとても充実した時間です。

年月が経過しないとわからないことですが、最初に治療計画を立てるとき、また治療するときに少々時間はかかっても患者さんにしっかり説明して妥協せず丁寧に治療する大切さを改めて感じます。

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映画「MINAMATA」とブラックジャック

今日は久しぶりに映画を観てきました。

ジョニー・デップ主演のMINAMATAです。

ついこの前封切になったと思ってたら、もう神戸では上映していなくてテアトル梅田まで行ってきました。

関西で上映している映画館はほぼここだけで、しかも60席のスクリーンで1日1回だけです。

映画は、日本の公害病“水俣病”を取材し、アメリカの雑誌「LIFE」や写真集「MINAMATA」を通じて世界にその存在を知らしめた写真家ユージン・スミスをジョニー・デップが演じる実話です。

パイレーツオブカリビアンやチャーリーとチョコレート工場など、ジョニー・デップは被り物のイメージがありますが、ある意味この映画でも写真で見る本物のユージン・スミスそっくりなのです。

映画全体が細部まで可能な限り正確に再現されているらしく、ジョニー・デップがかけている眼鏡もユージン・スミスがかけていた眼鏡と同じモデルだそうです。(映画の1970年当時にかけていたモデルはジョニー・デップに似合わなかったそうで、その前の1960年代にかけていたモデルを使っているそうですが…)

カメラも当時どのようなカメラを使っていたか記録になかったらしく、日本に入国する際の当時の税関申告書を調べたそうです。

さすがに迫力がありました。

心が動くというのでしょうか、観ていてブルブルっ、ゾクゾクっとする場面がいくつかありました。

被害者本人やその遺族や家族などいわゆる原告側が、大きなものに向かっていく勇気に感動しました。

この映画を観ていて、小学生のころによく読んでいた愛読書「ブラックジャック」の「しずむ女」というエピソードを思い出しました。

【しずむ女のあらすじ】
晦日市で発生した公害によって知能低下と歩行障害になってしまった「ヨーコ」の話です。障害のため行政や町の人からも無下に扱われていたヨーコですが、とても無垢で愛嬌のあるヨーコがとにかく可愛い。手塚ヒロインの中でも屈指のキャラクターです!ブラックジャックの事を「オニイチャーン」と呼んで抱き着くシーンがなんとも・・・
ヨーコは海に潜って魚を取るのが得意だったのですが、公害によって足に障害を負ってしまってから海に潜るのはおろか、歩く事すらままならず乳母車を木の棒で押して街を移動していました。
彼女はいつかまた海に潜って魚になる事を夢見ていたのです。
公害によって蝕まれた身体もブラックジャックの手によって回復の兆しが見えてきました。今まで書けなかった文字を書けるようになったのですが、まだ全快ではないにもかかわらず、ブラックジャックへ魚を取ってくるという書置きを残し海へ潜り、ヨーコはそのまま帰ることはなかったのです。

 ブラックジャックの最後のセリフがなんとも切ないのです。「ヨーコ、こんど生まれたらきれいな海で泳げよ」…手塚治虫のブラックジャックは、ハッピーエンドで終わらない作品が多いです。世の中そんなきれいごとだけではない。という部分を小学生だった私も感じてたのでしょうか…そのあたりのリアリティが魅力だったように思います。

映画の最後、交渉の場で追い詰められた國村準演じるチッソの社長がボソッとひとこと謝罪するシーンも、絵のように頭は下げていませんでしたが、こんな感じでよく似ていました。

余談ですが、この「しずむ女」というエピソードは、最初に出た単行本には掲載されていますが、その後に発行されたものには人権的な観点から未収録のものが多いそうです。

「しずむ女」はアニメ化もされているようですが、内容が書きかえられているそうです。

映画「MINAMATA」、なんとか映画館で観れてよかったです。

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チェット・ベイカーと歯

ジャズトランぺッターの日野皓正さんは、「唇の恰好と歯の形が良ければ、トランペットの音がなりやすい。しかし、歯が折れたり、歯の位置が数ミリずれたり、歯の厚みがほんの少し変わったりするだけで、音が上手に出なくなる。そのため、歯の健康状態には十分気をつけている。」と話されています。

この中での「歯の位置が何ミリかずれたり…」については、口の中での数ミリというのは大きすぎるので、実際はその100分の1くらいの感覚かと思います。

トランペットのような管楽器(特に金管楽器)奏者にとって、歯はとても大切だということです。

写真のチェット・ベイカーは、1950年代から80年代にかけて活躍したアメリカのジャズミュージシャンです。

歌手としての甘い歌声とマイルス・デイビスと人気を二分するようなトランぺッターとしての腕前をあわせ持ったジャズジャイアントです。

そのキャリアのちょうど真ん中あたりの1970年に、ドラッグが原因の喧嘩で前歯を折られる事故に見舞われます。

このシーンは、イーサン・ホークがチェット・ベイカーを演じた映画「ブルーに生まれついて」にも出てきます。

前歯を失ったチェット・ベイカーが入れ歯を使い、懸命に練習する場面がありますが、なかなかうまくいきません。壮絶なシーンです。

トランぺッターが前歯をごっそり失うことは、日野皓正さんの言われる数ミリどころの話ではありません。

前歯を失ったチェット・ベイカーは休業を余儀なくされますが、3年後の1973年に復活をはたします。

おそらく壮絶なトレーニングだっただろうと思います。

それと同時に彼の入れ歯は、楽器と同じかそれ以上に貴重だったことでしょう。

入れ歯が壊れたり、入れ歯を失ったりすると絶対に演奏できないはずですし、歌も歌えないでしょうから。

チェット・ベイカーは、以前に紹介したジャズの映画 Round Midnightにも参加しています。

そしてこの映画が公開された1986年に初来日しています。

その翌年の1987年に2度目の来日をし、1988年にオランダでホテルから転落してなくなっています。58歳でした。

クリニックでは、チェット・ベイカーの曲も流しています ♪

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~本日のラバーダム~ 上の一番奥の歯

上の一番奥の歯です。

溝が黒くなっています。

虫歯です。

治療すべきか?経過を観るか?微妙なところですが、中央の部分の虫歯がエナメル質を超えて象牙質まで進行していそうなので、治療です。

治療

麻酔をして、ラバーダムをして、細菌が感染している部分を取り除いていきます。

虫歯の取り残しがないように、しかし削る量は極力少なく、しかし詰め物の強度を担保できる厚みを確保するように、詰めるときにうまく詰められるようにある程度の幅が必要、と相反するような条件をうまくクリアするように形を作ります。

医療行為とはいえ、患者さんの歯をいったん傷つける行為です。

慎重に。

詰めるときは隙間ができないように、丁寧に、この作業がこの歯の将来を決定づけるのだから。

ラバーダムが必要

写真に写っている青いシート。

ラバーダムといいます。

この小さな虫歯の治療にもラバーダムを使いますが、それは主に2つの理由があります。

一つ目の理由は、削った歯の中に唾液が入り込んで、詰め物の下に再び細菌を感染させないためです。

二つ目の理由は、歯と詰め物の樹脂(コンポジットレジン)を接着させるために接着剤(ボンディング剤)を使うのですが、歯が少しでも唾液で濡れてしまうと極端に接着力が低下するので、絶対に唾液の侵入は防がなければならないからです。

今回の治療は、一番奥の歯なので、ラバーダムをしなければ洪水のように流れてくる唾液で汚染されてしまうからです。

唾液で汚染されても治療はできますし、おそらく数か月で詰め物がはずれたり、虫歯が再発して痛くなるようなことはないでしょう。

しかし、2~3年、あるいは10年の時間を考えたとき、この汚染が再治療へ誘います。

一生の中で、この歯の治療はこれで最後にしたいので、10年ではなく寿命まで再発を防がなければなりません。

再治療になる場合…

数年後、もしも虫歯が再発した場合どのようなタイミングで発見されるでしょうか?

痛くなったときでしょうか?詰め物がはずれたときでしょうか?

どちらにしても虫歯がかなり進行しなければそのようなことはおこりません。

このようなことがおこると次は歯髄(神経)が危険になります。

もしも歯髄が失われると今度は歯自体が危険になります。

実際に歯が失われるパターンはこのように進行していきます。

ですから今回のような小さな虫歯を治療する場面はとても貴重です。

今回の虫歯のように問題の火がまだ小さなうちに確実に消火できれば、今後は安心です。

知らず知らずのうちに火が大きくなってしまうのをなんとか防がなければなりません。

歯の治療はいまだけのことではなくて、一生のことなのです。

ですので、あらゆる治療をする場合に少なくとも5年先、10年先のことを考えなければなりません。

そうすると丁寧に削って、丁寧に詰めるだけでは解決しない問題があることに気が付きます。

そもそもなぜこの歯に虫歯ができたのか?という問題です。

この問題が解決しない限り、歯が溶けることはつづくでしょう。

主には正しいプラークコントロールの習慣と砂糖の摂取のコントロールという問題です。

簡単そうで実は奥の深い問題かもしれません。

そもそも簡単な問題なのであれば、虫歯はほぼこの世からなくなっているはずです。

私たちのクリニックでは、予防プログラムを通して計画治療の最初にこの問題を解決していきます。

丁寧なメンテナンスチェックが大切

今回の虫歯は、実はメンテナンスで何年も経過を観てきたものです。

実際には、自分で発見するのは不可能でしょう。

痛くないですし、舌触りも健康な歯と変わりないですし、何より自分では見えません。

歯科医が使っているような小さな鏡と別の手鏡などの合わせ鏡をうまく使っても、家庭では鏡が曇ったり、照明が暗かったりでなかなか見えないでしょう。

ここで歯科医や歯科衛生士による丁寧なチェックが必要なのです。

歯科医や歯科衛生士であれば、鏡で見ただけで上の写真のように虫歯があることはわかります。

しかし前述のように「なぜ虫歯になったのか?」という問題が解決されていない限り、高い再発のリスクが残ります。

歯科医や歯科衛生士には、この「なぜ虫歯になったのか?」という問題に目を向ける能力や習慣が必要だと思います。

虫歯を発見してただ削って詰めるだけでは治らないないのですから。

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Pink Ribbon Festival

いまクリニックの前のフラワーロードに「ピンクリボン」のサインが並んでいます。

このピンクリボンの意味はご存知でしょうか?

ピンクリボンとは、乳がんの正しい知識を広め、乳がん検診の早期受診を推進すること、などを目的として行われる世界規模の啓発キャンペーン 詳しくはこちらのリンクから ⇒Pink  Ribbon Festival

女性が一生で乳がんを経験する人は8人に1人だそうです。

乳がんは女性だけの病気ではなく、数は少ないですが男性の乳がんもあるようなのです。

ちなみに男性は1000人に1人くらいだそうです。

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ろうあの方とのコミュニケーションとインフォームドコンセント

治療する前には、必ず今の状況をできるだけ正確に詳しく説明しています。

そのときには絵を描くことが多いですが、この方の場合は少し違いました。

耳が不自由なこの方の場合、すべてが筆談になるので、絵だけでなく左のように説明も文章で書くことになります。

でも、これには思わぬ効果がありました。

文章にして手で文字を書くには口で話すよりもずっと時間がかかりますが、その分お互いの理解が深まる感覚があるのです。

患者さんの方も真剣でした。

デンタル・ドックを受けられ、現在の歯や口の状態と口全体の治療計画、保険診療と自由診療の違い、クリニックの診療姿勢についてもしっかり理解されました。

治療する前に今日の治療の説明をして、お互いがんばって治療して、治療後の説明・注意事項を伝えて、次の予約を取って終了。

治療のルーティーンになっていた1時間半ほどのこの時間は、ホントに楽しい時間でした。

そんなことで説明のメモ書きがどんどん増えていきました。

この患者さんからのご紹介で、同じようなろうあの方が数名来られましたが、それぞれコミュニケーションの取り方が違います。

ある方は、読唇術というのでしょうか、マスクをはずして口元を見てもらえば理解されます。いまの時期は、フェイスシールドが役立っています。

ある方は、パソコンのキーボードを使ってモニターに映し出して伝えています。チャットのような感覚です。その場合は、治療終了時に印刷してお渡ししています。

この方の場合、時間のかかる私の手書きの説明に根気よく付き合っていただいて、質問もたくさんしてくれました。理解しようとされる強い姿勢がうかがえました。

どのような患者さんであっても、ラポールを築くことがとても大切だということを改めて感じました。

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奥歯を失いそうです。

左奥歯のレントゲン写真です。何が見えるでしょうか?

歯と骨と修復物が見えます。

分かりやすいように骨のラインを赤線で描いてみたのが下の図です。

赤の実線が実際の骨のライン、点線がもとの骨のラインです。

実際の骨の位置がもとの骨の位置よりもかなり下にあるのがわかりますね。

歯周病で骨がなくなっています。

右端の斜め向いてる歯が親知らずですが、親知らずのまわりは化膿していて、歯ぐきの溝から膿が出ていました。

このままでは、親知らずだけでなく、その手前の歯も失ってしまいます。

なぜこのようなことが起こったのでしょうか?

いろいろ考えられます。

◇親知らずが斜めになっていることで、手前の歯との間に大きな段差ができて、食べ物がつまりやすく、つまったものは出てきにくく、掃除ができないので細菌が停滞しやすい構造になっている。

◇手前の歯には金属の冠が被せてありますが、それがもとの歯よりも大きく、人工的に大きな段差ができていて、同じく細菌が停滞しやすい構造になっている。

◇咬み合わせの関係によって顎にかかる強い力で奥歯が揺さぶられるようになっている。

主にはこのあたりが原因です。

治療方針

これらの原因をなくすことが治療になります。

まずは正しい歯の手入れの方法を身に着けて、毎日実践することです。歯を健康に残すためには、どんな治療よりも必要なことです。

この方の場合、デンタルフロスと歯ブラシに加えて、部分的に歯間ブラシも使ってもらっています。

そして掃除しやすい、お手入れしやすい環境をつくることです。

そのために親知らずを抜歯し、手前の歯の冠を作り変えました。

治療後に骨が再生されてきました。

最初のレントゲン写真と比べると、親知らずがなくなって、白っぽく見える骨が再生されてきているのがわかります。

完璧なお手入れの方法を身に着けられ、細菌が停滞しにくい(手入れしやすい)環境を作って、奥歯が揺さぶられないように咬み合わせを設計した結果です。

これで親知らずの手前の歯はかなり延命できるでしょう。

何よりもご本人の努力です。

前述のようなコンセプトで口全体を治療しました。

この左下同様、治療後5年ほどの経過はいまのところとても順調です。

治療がうまくいったとも言えますが、何よりもこの患者さんの努力の結果です。

毎日のプラークコントロールを確実にされていること!まずはこれに尽きます。。。

例えば、面倒なデンタルフロスを毎日欠かさず上手にされていること。奥歯の隅の方まで上手に歯ブラシを届かせていること。入れるのが難しい角度の部分に上手に歯間ブラシを入れていること。などなど

もう1つ忘れてはいけないのが、欠かさずメンテナンスを受けられていることです。

この方は、私どものクリニックへ来られるのに片道2時間ほどかかりますが、3~6ヶ月のメンテナンスには必ずお越しになられます。

すばらしいデンタルIQです。

まとめ

今回のブログでは、親知らずをネタに歯科治療の基本を解説しましたが、どのような歯科治療でも基本は同じです。

清潔にすること と 歯を傷めるような力がかからないようにすること です。

このコンセプトは、あらゆる人の治療に応用できます。

関心を持たれた方は、お電話でご予約の上、どうぞ遠慮なくご相談にお越しください。

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JR三ノ宮の駅ビル、2023年から作り始めるそうです。

JR三ノ宮駅の駅ビルは、現在は取り壊されて更地になっています。

そのため見晴らしがよくなっていて、JRの南側から六甲山の山並みが見えるようになっています。

そんな中、停滞していた再建計画が決まったようで、今度は160mの超高層ビルになるそうです。

西側の阪急のビルが120mなので、優にそれを超える高さになります。

心配しましたが、ビルの形は西側の阪急のビルのように真四角ではなくて、3段階になるようなので、左の図のような圧迫感はないようです。(計画概要へリンク)

2023年着工ということで、残念ですがだんだんまたお山は見えなくなっていくのでしょう。

現在10車線(片側5車線)あるフラワーロードを6車線(片側3車線)に縮小するなど、ビルだけでなく三宮がどんどん変わっていくようです。

JR三ノ宮の駅ビル、8年後の2029年完成だそうです。

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